【4月2日 AFP】インドで、ヒンズー教に基づくカースト(身分制度)の最下層「ダリット(Dalit)」出身の若い農夫が、馬を所有したという理由で撲殺された。警察当局が先月31日、明らかにした。インドで馬は権力と富の象徴とみなされている。

 大量の血を流して横たわっていたプラディープ・ラソッド(Pradeep Rathod)さん(21)の遺体は29日、同国西部グジャラート(Gujarat)州の村付近で、父親によって発見された。当局はカーストの上層に属する3人の男を取り調べのために拘束した。

 地元警察の副本部長はAFPに対し、ラソッドさんの父親が、息子がダリットであるにもかかわらず馬を所有したため、村の上層階級の住民に殺害されたと主張していると語った。

 AFPが入手した父親の告訴状によると、息子が馬を愛していたため父親が8か月前に馬を購入。また「約1週間前に息子と馬に乗っている際、上層のクシャトリヤ(戦士)階級の住民の一人から、村で馬に乗らないよう警告を受けた」「ダリット階級は馬に乗ってはならず、クシャトリヤのみが馬に乗って良いのだと言われ、馬を売らなければ殺すと脅された」としている。

 息子のラソッドさんは高校を中退し父親の所有する農場で働いていた。

 ダリットはかつて「不可触民」と呼ばれ疎外されてきた。カースト差別は非合法化されたものの現在でも根強く残る。 (c)AFP