【3月17日 CNS】高齢化が加速する中国。北京市(Beijing)で開催中の第13期全国人民代表大会(全人代、National People's Congress)でも、多くの地方代表が農村部の高齢化や、労働力の大量流出による高齢者の介護問題の深刻さを訴えている。

 若い働き手が都市部に出稼ぎに行き、農村では高齢者が大きな集団を形成している。中国民政部が2016年に実施した調査によると、中国では約1600万人の高齢者が農村部で家を守っている。

 農村生活で大半を過ごしたという、全人代貴州省(Guizhou)代表で地方村党支部の余必麗(Yu Bili)書記は「農村に暮らす高齢者の子どもたちの多くは長く親元を離れている。高齢者は出稼ぎに出ている若い世代の代わりに孫の面倒も見ている」と説明する。農村の高齢化問題は、都市部に比べて深刻だという。

 政府は今年、高齢化問題に積極的に取り組み、医療と介護を組み合わせた介護施設の整備や介護施設のサービスの質の向上を図る方針を打ち出している。

「農村の介護施設の支援にもっと力を入れるべきだ。村の実態に合わせた介護施設の建設が必要だ」と余書記は指摘する。

「高齢者は他人からは『子どもがいないから介護施設に入る』と思われることを恐れ、介護施設に入居するのを嫌がる」と貴州省の余書記は言う。この考え方は農村にありがちで、地元産業の振興によって、村を出て行った若い人たちが帰郷して働くことで、親の介護や子どもの世話が可能になる。

 全人代同省代表で海雀村(Haique)党支部、文正友(Wen Zhengyou)書記も「都市部と比較すると農村部の介護は精神面への目が向いていない。農村の高齢者は精神的な安らぎに欠け、多くの人たちが孤独感を抱えて生活している」と指摘する。

「農村に暮らす高齢者の心の『介護』にもっと関心を向けてほしい。高齢者向けの娯楽施設を整備して居心地の良い場所をつくり、娯楽活動によって高齢者の気持ちを明るくしたり、村民のボランティア活動を促して助け合ったりする介護を普及させる必要がある」と述べた。(c)CNS/JCM/AFPBB News