【3月11日 AFP】10日に行われた17-18イングランド・プレミアリーグ第30節、ウェストハム(West Ham)対バーンリーFC(Burnley FC)の一戦で、怒ったウェストハムのファンがピッチに繰り返し乱入するなどして試合が中断する騒ぎがあった。ウェストハムには英サッカー協会(FA)から何らかの処分が科される可能性がある。

 騒ぎはバーンリーのアシュリー・バーンズ(Ashley Barnes)が先制点を決めた直後に始まり、まずは1人のファンが難なくピッチに入ってウェストハム主将のマーク・ノーブル(Mark Noble)ともみ合いになった。このファンが客席へ逃げ戻ると、今度は別の2人のファンが乱入し、DFのジェームズ・コリンズ(James Collins)に追い返された。

 そしてクリス・ウッド(Chris Wood)のゴールでバーンリーが追加点を挙げると、ファンの暴走はさらにエスカレート。クラブ幹部が座る席の下に数百人のファンが殺到し「退任しろ」、「お前らがクラブを壊した」などと叫んだ。さらにこのとき、ピッチに侵入してコーナーフラッグを抜き、センターサークルに刺したファンもいた。

 場内が大混乱に陥る中で、クラブの共同オーナーであるデビッド・ゴールド(David Gold)氏とデビッド・サリバン(David Sullivan)氏は、安全を考えて席を後にしなければならなかった。警備員はこの場面でもほとんど状況をコントロールできておらず、2人に離席をうながすくらいしかできることがないように見えた。

 試合は何回かの中断を挟みながらも最後まで開催されたが、ウェストハムは0-3で大敗し、降格圏と勝ち点わずか3差の16位へ順位を落とした。デビッド・モイーズ(David Moyes)監督は「サポーターの後押しは歓迎だが、越えてはならない一線があるし、ピッチへ入るのはよくない。これほどは自分のサッカー人生でも記憶にない」とコメントした。

「彼らに言いたいのは、われわれにはサポーターの力が必要だということだ。みんなが勝ち点3を目指して戦っている。われわれは仲間だ。きょうも多くの時間帯では良いプレーができていたし、選手もそのことはわかっている。良いプレーができなかったのは後半の数分間だけだ」

「サポーターには別の形で一緒に戦ってほしい。私が言いたいのはただ一つ、みんなでまとまって(来季も)プレミアリーグのチームでいるために必要な勝ち点を手に入れようということだけだ」

■クラブは徹底調査を約束

 ウェストハムはこの日の騒動について声明を発表。「きょうの試合の後半に起こった出来事について、全面的かつ徹底的な調査をすぐさま開始し、適切で断固たる行動を取ることを約束する」と宣言し、「スタジアム関係者に緊急会議の招集をかけた」ことを明かした。

 ウェストハムは一昨シーズン、ゴールド氏とサリバン氏主導で長年慣れ親しんだアップトン・パーク(Upton Park)から2012年のロンドン五輪でメイン会場として使われたロンドンスタジアム(London Stadium)へ本拠地を移転するという、ファンの怒りを買う決断を下した。

 ピッチのすぐそばで試合を見られるコンパクトなアップトン・パークとは違い、ロンドン五輪スタジアムは陸上トラックがあるため客席とピッチとの距離が遠く、ウェストハムが本拠地として使い始めた昨季から何度も議論の的になってきた。

 使い始めたばかりの時期にも、何度かグラウンド内で問題が起こっており、警備員や警察官の適切な人数や配置について、スタジアムの管理者と借りている立場のウェストハムとの間での責任問題になっていた。

 一方、ショーン・ダイチ(Sean Dyche)監督の下で今季健闘を見せている7位のバーンリーは、この勝利でアーセナル(Arsenal)との勝ち点差を2ポイントに縮めている。また騒動の最中には、巻き込まれた子どもの観客をチームのスタッフがベンチへ逃がす一幕もあった。(c)AFP/Julian GUYER