【1月27日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は26日、スイス・ダボス(Davos)で開催中の世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で演説し、米経済の好調ぶりをアピールした。一方で、演説後の質疑応答では、自身に好ましくない報道をするメディアを批判したことで聴衆からブーイングを浴びる一幕もあった。

 今回がダボス会議初出席となるトランプ氏は15分間におよぶ演説で、貿易と安全保障上における「米国の友情とパートナーシップ」を約束し、「『米国第一』は『米国だけ』を意味するわけではない」と強調。

「世界は、強く栄えた米国の復活を経験している。米国は営業を開始し、われわれは競争力を取り戻した」と述べた。ただ、新たに公表されたデータによると2017年第4四半期の米経済成長率は第3四半期から低下しており、トランプ氏の言葉に影を落としている。

 トランプ氏は、今回の演説では無難かつ慎重な表現のみを使用。集まった1500人の聴衆の中には世界で最も「優秀な市民」が含まれていると賞賛した。

 また、米国は自由貿易を支持すると述べ、自身が就任直後に離脱を表明した環太平洋連携協定(TPP)に復帰する可能性もあると示唆。一方で「しかしそれ(TPP)は公正かつ互恵的でなければならない」と述べ、知的財産権侵害や補助金、国家主導の計画経済といった「略奪的行動」を非難した。

 貿易に関する発言に対し聴衆から反応はなかったが、演説後の短い質疑応答でトランプ氏が話題を変え、メディアに対して「意地が悪い」「悪意のある」「フェイク(偽)」などとの批判を展開すると、会場からはブーイングが上がった。

 しかし全体的に見ると、昨年9月の国連総会(UN General Assembly)でトランプ氏が発したような激しい非難の言葉はなかったことから、出席者らからは安堵(あんど)の声が上がっている。

 今月、アフリカ諸国を「肥だめ国」と呼んだことが報じられ、一部から人種差別主義者だと非難されていたトランプ氏は演説前、現在アフリカ連合(African Union)議長を務めるルワンダのポール・カガメ(Paul Kagame)大統領と会談。カガメ大統領に対し、今週末に開催される同連合首脳会議で、アフリカ各国の首脳に「くれぐれもよろしく」伝えてほしいと語った。

 だがアフリカから出席した実業家や活動家らの一部は依然として「肥だめ」発言に反発し、トランプ氏の演説をボイコットした。(c)AFP/Andrew BEATTY, Jitendra JOSHI