【8月31日 CNS】韓国のハンギョレ新聞(Hankyoreh)が21日報じたところによると、中国・北京市(Beijing)で一番長く営業している韓国料理店の店内で、中国人利用客が韓国人オーナーを呼び、「高高度防衛ミサイル(サード、THAAD)」問題について言い争う事件が起きた。サードは、米国が韓国に設置を進めており、両国と中国との間に緊張をもたらしている。

 韓国メディアによると、この「サード事件」以来、影響が長期化。中国の韓国料理店の消費額に大きな打撃を与えており、消費額が激減しているという。

 ほかにも、韓国の俳優と一流シェフが共同で北京市に開業した大型高級韓国料理店は今年、開店後たった3か月で閉店に追い込まれた。

 中国の韓国料理店の今年の消費額は30%減少し、ある一部の地域では70%も激減したという。中国の韓国料理店は、10年ほど前までは韓国人利用客が中心だったが、その後は中国人利用客の比率が70%~80%を占めるようになった。それが今回、「サード問題」がきっかけで韓国料理店への大きなダメージとつながった。

 韓国人が比較的多いとされる北京市内の望京(Wangjing)地区には以前、「韓式美食城」という看板を掲げた建物が存在したが、2017年2月に「韓式」の2文字が取り外され、現在では「美食城」の3文字だけが残されている。

 数の面でも産業の面でも、かつての「コリアンタウン」は「中国化」してきている。望京のある不動産会社社員によると、6~9月は本来なら書き入れ時のはずだが、家を購入する韓国人は昨年の半分程度にまで減ってしまった。多くの韓国人が中国に来てしばらくすると突然帰国してしまい、その空いた部屋を中国人が購入するという状況が増えてきている。韓国人向けのスーパーや学校なども、利用客が減ってきているという。

 一方で北京市政府は、望京東北地区で建設が進んでいる「大望京科技商務創新区」計画に、アリババ(Alibaba)、出前サイト「美団(Meituan)」、旅行総合予約サイトのシートリップ(Ctrip.com、携程)などの中国IT企業が参入することに同意した。

 北京在住の韓国人の多くは、サード問題による緊張状態を解くことができても、在中韓国企業は以前の状態に回復するのは難しいと感じている。

 北京に住んで23年のIT・エンジニアリング専門会社ポスコICT(POSCOICT)中国法人代表は、「中国で生活している韓国人は、中国社会に深く根ざし現地化を図らなければならない。そうすることで外部からの影響を少なくすることができる」と述べた。

 北京韓国中小企業協会の金容秀(キム・ヨンス、Kim Yong-Soo)副会長(飲食部)は、「大都市にばかり固執せず、地方都市にも目を向ければ、韓国企業は中国で生き残るチャンスはまだたくさんある」と述べた。(c)CNS/JCM/AFPBB News