【8月28日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」からの奪還作戦が進むシリア北部ラッカ(Raqa)をめぐり、国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」は27日、数年に及ぶISの恐怖統治や、米主導の有志連合による激しい空爆によって現地の子どもが大きな精神的苦痛を抱えていると指摘した。子どもたちの心の傷を癒やすには数十年かかる可能性があるとも述べ、支援の必要性を訴えている。

「ラッカの子どもは外見上は普通かもしれないが、内面ではこれまで目撃してきたことに苦しみ悩んでいる子が多い」。セーブ・ザ・チルドレンのソニア・クシュ(Sonia Khush)シリア事務所代表は語る。

 セーブ・ザ・チルドレンは、ラッカを逃れてきた子どもやその家族に聞き取り調査を行った。クシュ代表によると、子どもたちが「愛する人たちが目の前で死んでいくのを見るという悪夢、記憶にさいなまれたくない」と思っていることも分かった。

 3か月前、市の北方にある避難民キャンプに家族と一緒に逃げてきた少女ラーシダさん(13)はこう証言している。「ISが人の首を切り落として、遺体を地面に放ったままにしていた。自分が見たことを思い出してしまって、寝ようとしても寝られなかった。怖くて、眠るなんてできなかった」

 ラーシダさんの父親は残虐行為の現場を見せないようにしていたが、子どもたちは次第にそうした光景に慣れていったという。「(ラッカでは)子どもはもう子どもじゃないんです。私たちは皆、地獄で暮らしているようなものなんです」(父親)

 米軍の支援を受けるクルド人主体部隊がISを追い詰めるなか、ラッカ市内には最大2万5000人が取り残されており、その半数近くが子どもとみられる。

 セーブ・ザ・チルドレンは、有志連合による空爆で、ラッカに残された家族が「とどまって空爆に巻き込まれる危険にさらされるか、ISによる銃撃や地雷を踏む危険を冒して退避するかという、あり得ない判断を迫られている」とも警鐘を鳴らしている。

 9人のきょうだいや両親とともに、ISの狙撃手の銃撃をかわして命からがら市内から脱出してきたヤクーブ君(12)はこう語っている。「彼らは切り落とした頭を幾つもロータリーに並べていたんだ。そうするところを見た。手も切り落としていた」

 2歳の弟は空爆で負傷している。(c)AFP