【7月24日 AFP】仏教の寺や道教の廟(びょう)が多い台湾で、線香の煙が大気汚染の原因となっているとして当局が使用を控えるよう呼び掛けていることに宗教関係者らが反発し、台北(Taipei)中心部で23日、抗議デモを行った。地元警察によると1万人以上が参加した。

 道教と仏教は台湾で広く信仰され、それぞれ多くの人が寺院や廟を参拝したり、行事を行ったりする。

 しかし当局の調査によると、台湾中部で昨年9日間にわたって行われた道教の巡礼期間中、ルート沿いでは人体に有害な微小粒子状物質「PM2.5」の大気中濃度が世界保健機関(WHO)の基準値の60倍超に達した。

 さらに環境団体は、線香などの煙にはベンゼンやメチルベンゼンなど有害な化学物質も含まれていると警告している。

 こうした中、当局は線香や紙幣を模した冥銭をたくことや爆竹の使用の抑制に乗り出した。これに対して宗教関係者らは、宗教の伝統を守る上で重要な要素だとして反発。23日のデモには約100の宗教施設の関係者らが加わり、道教の神々の像を肩に載せたり、コスチュームを着て踊ったりする人の姿も見られた。

 当局は今月、線香などをたくことを禁止するつもりはなく、別の方法を奨励しているだけだと説明している。

 一部の宗教施設は既に環境に配慮した取り組みを進めており、台北にある人気の道教寺院「行天宮(Hsing Tian Kong)」は参拝者に線香をあげることを禁じ、手を合わせて祈るだけにするよう求めている。(c)AFP