■食習慣を変える難しさ

 食習慣を変えるために、保健当局が力を注いでいるのは次の世代への教育だ。子どもたちに狙いを定め、学校の新たなカリキュラムとして漫画を使い、魚を生で食べることの危険を教えている。

 一方、大人では手遅れになる前に寄生虫の感染を把握することを目標としており、ナロンさんらのチームは感染の有無を判定するための尿検査法を開発した。また、この4年間は、公立の医療機関から離れたところに住む人々を対象に肝臓の超音波検査も行ってきた。イサーン地方の一部地域では住民の80%がこの寄生虫に感染しているとされている。

 カラシン(Kalasin)県で行われた最近の検査では、約500人の村民が列を成した。その中の一人、タニンさん(48)は「これまで検査を受けたことはないが、たぶんいると思う。小さな頃から(コイプラを)食べているから」とAFPの取材に語った。

 年齢が40歳を超えていること、生魚を食べたことがあること、家族にがんにかかった人がいることが、3大リスクだ。検査を受けた3分の1の村民の肝臓が異常を示し、4人にがんの恐れがあると診断された。

 超音波検査の結果、タニンさんは感染していないことが分かり、「生(のコイプラ)はもう食べないよ」とほっとした表情で語った。しかし、他の人たちはどうだろうかと質問してみると、「彼らは簡単にはやめないと思う」との言葉が返ってきた。(c)AFP/Sally MAIRS