侵略的外来種の「ホットスポット」 島や人口密集する沿岸地域に
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■生態系の変化
害の有無に関係なく、外来種の多くは人を介して新たな土地にもたらされてきた。
よく見られるのは、貨物に紛れて各地に移動するケースだ。刺されると危険なオオスズメバチは、数十年前に中国から欧州に陶磁器を輸送していた貨物船によってもたらされたと考えられている。
船体の水平を保つために必要な貨物船のバラスト水も、主要な原因の一つ。巨大なタンク内の水は各地で出し入れされるが、この中には細菌やウイルスを含む数千種類の生物種が含まれており、知らず知らずのうちに日々世界中に運ばれている。
この侵略的外来種を取り巻く状況についてドーソン氏は、「議論の余地はあるかもしれないが、われわれは新たな『パンゲア』を創造しつつある」と指摘する。パンゲアは、約3億3500万年前に存在していた超大陸で、現在地球上にある大陸の大半はこの大きな超大陸の一部だった。
同氏はまた、「こうした仮想大陸がもたらす結末は深刻だ。世界中からもたらされた種が混在する新たな環境の創造によって生態系に変化が生じ、一部の種は絶滅するだろう」と警鐘を鳴らす。
■経済的な影響
昨年発表された研究論文によると、侵略的外来種の昆虫がもたらす被害は毎年少なくとも770億ドル(8兆4800億円)上るとされている。しかし、この数字については、低く見積もり過ぎとの指摘がある。
今回の研究で、ドーソン氏と研究者ら24人の国際研究チームは、世界186の島と400の地域を対象に、外来種に関するデータを調べた。
農業や環境に関する英国の非営利団体「Centre for Agriculture and Biosciences International(CABI)」は、8000種類以上の侵略的外来種を確認しているが、実際にはもっと多く存在しているとドーソン氏は指摘する。(c)AFP/Marlowe HOOD