■星の化石

 米宇宙望遠鏡科学協会(Space Telescope Science Institute)のカイラシュ・サフ(Kailash Sahu)氏率いる国際研究チームは、この米航空宇宙局(NASA)の望遠鏡を使用して、太陽の近傍にある「スタイン2051B(Stein 2051 B)」と呼ばれる白色矮星(わいせい)の周囲で遠方の星の光が曲げられる現象を重点的に観測した。

 白色矮星は、恒星の一生の中の水素燃焼過程を終えた星の残骸。いわば銀河系の前世代の星々の化石だ。

 今回の研究では、この白色矮星と背景の星とが一直線上からわずかに外れ、非対称型のアインシュタイン・リングが形成されているのを確認。これに基づいて白色矮星の質量を算出した。背景の星の光が曲がる度合いは、白色矮星の質量と重力に直接関連している。

 太陽に6番目に近い白色矮星のスタイン2051Bについて研究チームは、その質量が太陽の約3分の2であると結論づけている。

 オズワルト氏は「アインシュタインの予言のこの部分は『位置天文的重力レンズ効果』と呼ばれており、この現象を太陽以外の恒星で観測したのはサフ氏のチームが初めてだ」と指摘する。

 今回の成果は「他の手段では容易に測定できない天体の質量を求める新たなツールを提供」し、「銀河系などの銀河の歴史と進化」の理解に向けた新たな機会を開くという理由で重要だとしている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN