【6月2日 AFP】国際物理学者チームは1日、合体する2つの巨大ブラックホールによって生じた、重力波(質量を持った物体が運動した際に光速で伝わる時空のゆがみ)を検出したと発表した。今回の重力波は、これまで検知された中で最も遠方で放射されたものだという。

 今回の重力波を発生させた銀河の衝突は、約30億光年先で起きた。この現象の直接観測は、科学界で3例目となる。

 米国物理学会(American Physical Society)の学会誌「Physical Review Letters」に発表された研究論文によると、この謎めいた波動が初めて検出されてから2年たってからなされた今回の発見は、物理学者アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)が1915年に提唱した一般相対性理論のさらなる裏付けとなるという。

 米レーザー干渉計重力波検出器(LIGO)に参加する研究者たちで作る組織「LIGO科学コラボレーション」(LSC)の広報担当で、米マサチューセッツ工科大学(MIT)上級科学研究員のデービッド・シューメーカー(David Shoemaker)氏は「数十億年前に、地球から数十億光年離れたところで発生した、このように奇妙で極端な現象に関して人間がストーリーを組み立て、それを検証することができるとは驚くべきことだ」と述べた。

 世界の科学者1000人以上で構成されるLSCは、欧州を本拠とする重力波観測グループ「VIRGOコラボレーション」と協力して、LIGOによる研究を行っている。

 これまでの3つの観測例ではすべて、途方もなく大きなエネルギーが生じるブラックホール2個の合体によって発生した重力波を、LIGOの2台の検出器がそれぞれ捉えた。

 このような衝突では宇宙に存在するすべての恒星と銀河から常に光として放出されているエネルギーよりも大きなエネルギーが生み出されるとLIGOは声明の中で説明している。