【6月7日 CNS】6月5日、世界卓球選手権デュッセルドルフ大会(2017 World Table Tennis Championships)が幕を閉じた。中国卓球チームは男女シングルス2冠や、男女ペアの金メダルなど、世界卓球界覇者の地位を譲らなかったが、その背後で、強いプレッシャーが存在するのも事実だ。

 それは中国卓球チームの古くからのライバル、日本チームの台頭だ。今回の世界選手権では、17歳の「天才少女」平野美宇(Miu Hirano)が銅メダルを獲得し、グランドスラム選手の丁寧(Ding Ning)でさえ彼女と3時間を費やし戦った。石川佳純(Kasumi Ishikawa)/吉村真晴(Maharu Yoshimura)ペアは男女ダブルス金メダル、森薗政崇(Masataka Morizono)/大島祐哉(Yuya Oshima)ペアは男子ダブルス銀メダル、伊藤美誠(Mima Ito)/早田ひな( Hina Hayata)ペアは女子ダブルス銅メダルを獲得した。注目された13歳で華僑の若手実力選手、張本智和(Tomokazu Harimoto)は意外にも日本のトップスター、水谷隼(Jun Mizutani)を倒し、男子シングルス8強に乱入した。

「平野美宇のような日本の選手はすでに中国チームの主力選手に対抗できる実力を持っている」と金メダルコーチの李隼(Li Sun)が嘆いた通り、近年「東京五輪決戦」を最終目的として、日本卓球協会(JTTA)は新人教育に力を入れてきた。帰化した中国選手や中国籍のトレーナーを大量導入し、試合前の合宿を強化したほか、中国のように青少年選手育成システムを導入するなど、「大ナショナルチーム制」が日本卓球チームの慣例になりつつある。

 元中国ナショナルチームヘッドコーチの施之皓(Shi Zhihao)は、「中国チームにとって、1回か2回倒されることは恐ろしくない。恐ろしいのはこのライバルたちの心理状態、思想、技術戦略、体力などを含む総合能力のアップ」だと指摘した。

 中国チームの全体的実力は依然優勢にあり、特に許昕(Xu Xin)と丁寧はそれぞれ張本智和、平野美宇との試合で圧勝。しかし両チームのレベルの差はあるものの、まだ安心はできない。

 日本チームのように新人を大胆に採用するやり方と違い、中国チームの新旧交代はあまりない。リオデジャネイロ五輪後、男子は樊振東(Fan Zhendong)の成長が速く、主力選手になったことを除けば、他の若い選手は育っていない。今回の世界選手権で注目されていた林高遠(Lin Gaoyuan)は負けはしなかったが、大きな試合の経験不足、心理的資質が足りないことが露見された。

 女子チームも同じ問題を抱えている。リオ五輪後、李暁霞(Li Xiaoxia)が引退、女子チームの主力選手の枠組みは丁寧、刘诗雯(Liu Shiwen)、朱雨玲(Zhu Yuling)、陈梦(Chen Meng)、木子(Muzi)の5人。しかしリーダーの丁寧は長く怪我に悩まされ、東京五輪時に彼女は満29歳で、状態が保証できると言いがたい。刘詩雯の心理的資質は終始不評で、トップ選手の実力を備えてはいるが、世界選手権5回出場も無冠。大きな試合には不向きだと物語っている。朱雨玲と陳梦は、まだどの試合でも好成績を上げていない。木子は既に28歳、さらに国際大会参加経験が少ない上、東京五輪までもつかどうかも危うい。より若い選手王曼昱(Wang Manyu)、陳可(Chen Ke)らは潜在力があるが、大きな試合でのパフォーマンスは同じ年齢の日本選手と比べるとまだまだだ。

 中国チームの若いメンバーの成長速度は当初予想したような「主力層入り」にはほど遠く、日本チームのような強敵を前に、彼女たちの早期成長が望まれる。

 東京五輪までの5大会の初戦において、中国チームは未だかつてないプレッシャーと挑戦を感じている。一方、ナショナルチームの刘国梁(Liu Guoliang)総監督は、「私たちに一度目をつけられたら、もう勝ち目はないよ」と自信満々だ。(c)CNS/JCM/AFPBB News