【3月23日 AFP】接触感染によって致死的な感染症を引き起こすロタウイルスの予防研究で、安価で製造でき、冷所保存の必要がない最新ワクチンが有望な効果を示したとの結果が22日、発表された。重症の下痢性疾患の原因として世界で最も一般的とされるロタウイルスは、特にアフリカで子どもたちに対し猛威を奮っている。

 ニジェールで実施された最新ワクチンの臨床試験で、ロタウイルスが引き起こす胃腸炎の予防に67%近い有効率が示された。

 世界保健機関(WHO)によると、ロタウイルスによる脱水症と合併症で毎年50万人以上の子どもが死亡しており、被害は特にサハラ以南アフリカに集中している。

 ロタウイルスに対するワクチンは、すでに2種類が市場に出回っているが、どちらも冷所保存が必要なため、コストが大きくなりやすい。

 米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された研究論文の共同執筆者で、米ハーバード大学(Harvard University)のシーラ・イサナカ(Sheila Isanaka)助教(栄養学)は「今回の治験によって、アフリカの状況に適合するワクチンが、それを最も必要としている人々にもたらされる。アフリカで広く利用できるようになれば、最も影響を受けやすい子どもたち数百万人を守る助けになるに違いない」と語った。

「BRV-PV」と呼ばれるこのワクチンは、インド血清学研究所(Serum Institute of India)が製造した。

 健康な幼児3508人を対象とするランダム化比較試験では、BRV-PVワクチンかプラセボ(偽薬)のどちらかを、生後6週目、10週目、14週目の3回にわたって投与した。

 最終回の投与から約1か月後、ロタウイルスによる下痢、嘔吐(おうと)、腹痛などの症状を示した子どもは、ワクチンを投与したグループの方がはるかに少なかった。

「3回目のワクチンまたはプラセボの投与から28日後の時点で、重篤なロタウイルス胃腸炎の症状がみられた幼児は、ワクチン投与グループの31人に対し、プラセボ投与グループでは87人だった」と論文は述べている。

 過去のある臨床試験によると「ロタテック(RotaTeq)」ワクチンの有効率は39.3%で、最新のBRV-PVワクチンの67%はそれを上回っている。

 一方、論文の参考資料によるともう1種のワクチン「ロタリックス(Rotarix)」の有効率は、南アフリカとマラウイで実施された同様の臨床試験で61.2%にとどまっている。

 インドで認可を受けたBRV-PVワクチンは現在、WHOによる事前資格審査の待機段階にあり、審査に合格すれば、国連(UN)や各国政府機関による購入が可能になる。

 BRV-PVワクチンとの関連が明らかになっている重篤な有害事象は確認されていない。

「最新ワクチンの治験成功を受けて、ニジェールおよびアフリカ全体で、子どもたちができるだけ早くこのワクチンを利用できるようになることを望んでいる」と、イサナカ助教は話した。(c)AFP