【1月25日 AFP】世界の疾患による死亡原因の中で最も子どもの死亡数が多い肺炎──ウガンダのエンジニアチームが発明した、医師よりも素早く肺炎を診断する「スマートジャケット」が今、この病気の治療に希望を与えている。

「スマートジャケット」を考え付いたのは、26歳のオリビア・コブロンゴさんだ。祖母が肺炎にかかったが、肺炎と正しく診断されるまでに病院をたらい回しにされた。「診断されたときにはもう手遅れで、バイタルサインも簡単には取れなかった。その経験から、そうしたプロセス全体を自動化し、身体状態を追跡できるような方法を考えたのです」

 コブロンゴさんが電気通信技術を学ぶ知人の大学院生ブライアン・トゥリャバギェさん(24)に相談し、医師らのチームと一緒に製作したのが、生物医学のデジタル測定技術と診断を行う携帯電話のアプリケーションを組み合わせたジャケット「ママ・オペ(Mama-Ope)」(母の希望)だ。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によれば、ウガンダでは5歳未満の子どものうち多い年で2万4000人が肺炎で亡くなっているが、マラリアと誤診される例が多いという。検査室の不足や貧しい地域のインフラの不備などが原因で、診断は単純な診察に頼らざるを得ないことが多い。

「ママ・オペ」の使用方法は簡単で、医師や看護師が診断を受ける子どもにジャケットを着せるだけでいい。センサーが呼吸音や体温、呼吸数などを計測してくれる。「処理された情報が(ブルートゥースを通じて)携帯電話のアプリに送られると、アプリが既存データと比較して肺炎の確率を推定する」とトゥリャバギェさん。「ママ・オペ」はまだ試作品段階だが、発明チームの研究によれば、医師よりも3倍速く肺炎の診断ができ、人的ミスも減ると期待される。

 トゥリャバギェさんによれば、このジャケットを国立委託病院で試験使用した後、各地の医療拠点へ浸透させようという計画が進んでいる。ユニセフによれば、南アジアとサハラ以南アフリカで死亡している年間90万人の5歳未満の子どもの大半は肺炎で亡くなっており、子どもの死亡原因としては、下痢やマラリア、髄膜炎、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染などを上回っている。(c)AFP/Grace Matsiko