【3月1日 AFP】妊娠中の女性がインフルエンザ治療薬を服用しても胎児には害がないとする調査研究の結果が1日、発表された。研究は約70万人の女性を対象に行われたという。

 研究では、インフルエンザウイルスによる感染症で用いられる治療薬2種を調べた。タミフルやリレンザとして知られる、オセルタミビルやザナミビルの妊娠中の服用による潜在的リスクについての調査では過去最大規模。

 研究チームは、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランスで2008年から2010年の間にオセルタミビルやザナミビルを処方された妊娠女性約6000人と、処方されなかった妊娠女性約70万人を比較した。

 その結果、年齢や喫煙習慣、他の薬の使用などの要因を加味しても、有害な結果をもたらすリスクの増大については確認できなかった。ここでの「有害な結果」とは、低出生体重、早産、死産、出生異常などを含む。

 今回の研究では逆に、ノイラミニダーゼ阻害薬として知られるタミフルやリレンザを処方された母親の子どもが低体重となりにくい傾向がみられたという。

 多くの医療監視機関はこれまで、妊娠期間中の服用については安全性とその効果をめぐる知識が限られているとしながら、これら治療薬の使用を推奨していた。

 医学誌BMJに掲載された今回の調査研究は、こういった現状の改善を目的に行われた。

 ただ、研究チームは、妊娠22週前の胎児へのリスク評価を行っていないことや、薬が実際に服用されたかについては確認できていないこともあり、研究が不十分であることを認めている。(c)AFP