【3月22日 AFP】崖崩れが起きるのは、地球に限ったことではないとする研究結果が21日、発表された。

 英科学誌ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)に掲載された論文によると、欧州宇宙機関(ESA)の無人探査機「ロゼッタ(Rosetta)」が2015年、太陽から遠く離れた暗い宇宙空間にある彗星(すいせい)の表面で、大規模な崖崩れを観測、写真に収めたという。

 この崖崩れで発生した約2000トンの岩くずのうち、99%は断崖の麓に堆積した。残りは、壮観なちりの噴流となって放出された。

 ロゼッタは「アスワン(Aswan)」と命名された崖の縁に生じた全長70メートル幅1メートルの亀裂に沿った壁面の崩落前後の画像を撮影した。彗星上で起きる崖の崩壊の直接的な証拠が得られたのは今回が初めて。

 2015年7月、ロゼッタが当時周回観測していた67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Comet 67P/Churyumov-Gerasimenko)から大規模なちりの噴流が放出されたことで、科学者らは崖崩壊が起きる可能性に注目していた。

 研究チームは、噴流の発生源がアスワン崖であることを突き止めた。

 5日後、ロゼッタ搭載の撮像システム「オシリス(OSIRIS)」で、アスワン崖の以前に亀裂が生じていた部分に「出来たばかりの、くっきりとした、明るい」縁があるのが観測された。

 この場所では原初の氷でできた67Pの内部が新たに露出しており、ちりに覆われた67P表面の他の場所より6倍明るかった。

 ロゼッタによる67P彗星探査ミッションでは、これ以前にも噴流が幾つか観測されており、崖の崩壊が噴流を引き起こしている可能性があるとの仮説が立てられていた。

 だが、今回の研究は「噴流と彗星上の崖崩壊との間の明確な関連性を初めて記録したものだ」と研究チームは論文に記している。