【10月13日 AFP】月は、非常に多数の隕石(いんせき)の衝突を受けるため、その表面が8万1000年ごとに完全に「模様替え」されているとする、米航空宇宙局(NASA)の観測データに基づく研究論文が12日、発表された。

 衝突による表面の変化──主に緩く堆積している月の塵(ちり)の表層2センチへの影響──は、これまで考えられていたより100倍も高い頻度で発生していると、研究チームは報告している。

 研究チームの推算によると、地球の唯一の天然衛星である月に衝突している小惑星や彗星(すいせい)は、直径10メートル以上の新しいクレーターを毎年平均で180個形成しているという。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された今回の研究結果は、NASAの無人月探査機「ルナー・リコナイサンス・オービター(Lunar Reconnaissance OrbiterLRO)」によって撮影された画像の比較に基づくものだ。LROは2009年より、月面の詳細な地図作成のための観測を続けている。

 米アリゾナ州立大学(Arizona State University)のエマーソン・シュパイアー(Emerson Speyerer)氏率いる研究チームは、一定の時間間隔をおいて撮影した同じ領域の画像を比較して、新しくできたクレーターの数を集計し、この結果から、月の全表面で形成されるクレーターの数を推定。「今回の研究では、新たな衝突クレーターを222個検出した。直径10メートル以上のクレーターが(これ以前のモデルで)予測されていたより33%多く形成されることが明らかになった」と結論付けている。

 研究チームはまた、より影響の小さい月表面のかく乱が数千回起きていたことも発見した。小規模の二次的な衝突による「傷跡」と表現されているこの現象をめぐっては、数千年の間に、クレーターを形成することなく、月の最上層を大きく変化させているとされた。

 地球にも、小惑星や隕石が常に向かってきてはいるが、分厚い大気の層があるために事なきを得ている。100トン以上に及ぶ塵や砂粒大の粒子も毎日、地球に降り注いでいる。

 NASAによると、最大で直径25メートルの隕石が、大気圏上層で破裂・分解したとしても、地球に何らかの影響が及ぶ可能性は低いという。(c)AFP