仏人も脱帽、「最高の自然派ワイン」目指す大岡さんのこだわり
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【12月12日 AFP】フランス在住の大岡弘武(Hirotake Ooka)さん(42)は、何事も中途半端には済ませられないたちだ。
かつて化学が専門だったという大岡さんがフランスへやって来たのは約20年前。以来大岡さんが追い求めてきたのは、可能な限り最高の、そして最も自然にこだわったフランスワインを造るということだ。
しかも、楽をしようなどという気は一切ない。大岡さんの小さなブドウ畑は、アルデシュ(Ardeche)の山地からローヌ(Rhone)渓谷に至る地域に位置するコルナス(Cornas)に近い丘陵地にある。めまいがするというほどではないにしろ、かなりの急勾配だ。
そのためブドウは全て手作業で収穫しなければならないばかりか、1房ずつ地面に膝を突いて摘み取らなければならないことも多く、大岡さんにも他の収穫担当者にとっても腰に重い負担がかかる。
フランス中南部、空気の乾燥したこの土地の大半の区画は、父から息子へ代々受け継がれる。大岡さんは、まず木の生えた丘を開墾してブドウ畑をこしらえ、シラー種のブドウの木を、花こう岩質の土壌に植えるという作業から始めなければならなかった。
ただ「大岡」という姓に生まれた以上、この「大きな岡」にたどり着いたのも運命だったのかもしれない。畑には、フランス語で「大岡」を意味する言葉を入れ「ドメーヌ・ド・ラ・グランド・コリーヌ(Domaine de la Grande Colline)」という名前を付けた。
可能な限りオーガニックなワイン造りを、原理主義とさえいえるほどのストイックさで追い求めてきた大岡さんはこれまで、いばらの道をたどって来た。
自然も大岡さんに試練を与え、2013年には黒斑病で9割のブドウを失い、今年はうどん粉病で3分の2近くが駄目になった。それでも大岡さんは、自然派ワイン生産者として、フランスで最も尊敬される造り手の一人と目されるようになった。
「私の哲学は、酵母も砂糖も、亜硫酸塩(酸化防止剤)も入れないで、とにかくブドウだけでワインを造るということ。ブドウ畑でも、なるべく自然にこだわりたいんです」と大岡さん。ブドウの木の下に生える雑草も抜かず、生物多様性をできるだけ大事にしている。