【11月24日 AFP】欧州の大気質は緩やかに改善しているものの、都市部では住民の10人に9人近くが健康に有害な空気を吸っている──。欧州環境庁(EEA)は23日に公表した年次報告書でそんな現状を明らかにした。2013年には大気汚染関連の早死にが域内で約46万7000人に上ったとの分析結果も示した。

 欧州の都市部では、大気汚染が早死にをもたらす最大の環境要因となっている。2013年の死者数は域内400余りの都市から得られたデータの分析に基づき、41か国の死者を合計したもの。

 EEAのハンス・ブルイニンスク(Hans Bruyninckx)事務局長はリポートについての声明で「排出量削減によって欧州の大気質は改善してきたものの、削減量は人間の健康と環境に対する許容できないダメージを回避するには十分ではない」と警告した。

 2013年に早死にした人は、欧州連合(EU)の加盟国では推計43万人となっている。

 欧州各地に設置された大気質測定所のデータによると、2014年には域内の都市部住民の85%が、世界保健機関(WHO)が健康に有害なレベルとする粒子状物質(PM)を吸い込んでいた。粒子の大きさが10マイクロメートル未満のPM10は呼吸器系の疾患を誘発し、同2.5マイクロメートル未満のPM2.5は肺や血流にまで入り込むことがある。

 自動車など陸上輸送手段から排出され、呼吸器系や心臓血管の疾患に関連する窒素酸化物(NOx)についても、報告書は「十分には」削減されていないと言及している。(c)AFP