【10月11日 AFP】米国の核弾頭を管理している「ミサイラー」と呼ばれる軍人たちに聞いてみるといい。地下のミサイル発射施設で何日間も過ごすことが、やりたかった仕事かと。「ノー」という答えが返ってくるはずだ。

 冷戦(Cold War)が終わって何十年もたち、テロの脅威に怯える現代に生きる私たちは忘れがちだが、米国はいまだ大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3(Minuteman III)」を何百発も保有し、それらは米国の非都市部に点在するミサイルサイロに配備されている。

 ミサイラーたちは、1963年から常に警戒態勢にある核ミサイルを発射するという、本当に実行するとは想像もできない仕事を任されている。ロシアや中国、そしていまや北朝鮮も核兵器を増強しているなか、この態勢が今後数十年で変わるとは考えにくい。

 ほとんどの空軍兵は空を飛ぶために空軍に志願したはずだ。だがカナダとの国境から80キロ南、ノースダコタ(North Dakota)州の吹きさらしの草原にある施設では、ミサイラーたちが24時間体制で、絶対に実際には起きてほしくないと願いながらミサイル発射の訓練に励んでいる。

 魅力的な仕事ではない。2人ずつ24時間の交代勤務で、地下深くの発射コントロールセンターに詰めている。

 こうしたセンターは1960年代に建設された。その内部には巨大なアナログ機器が所狭しと置かれ、内装は何十年も変わっていない。まるでタイムスリップしたような感覚を覚える。

 ミサイラーはハンバーガーやフライドポテト、ナゲットなど米国人が好きな食事を与えられているが、シャワーや運動をする場所はない。

 ノースダコタはよく厳しい寒波に見舞われるが、そんな時はシフトが伸ばされ、72時間連続で地下に缶詰めになることもある。頻繁に起きる稼働停止時間中に交代で睡眠を取る。