【9月30日 AFP】シリア北部の都市アレッポ(Aleppo)の子どもたちは、地中貫通爆弾(バンカーバスター)の大きな脅威にさられており、新学期が始まる今週末、地下に設置された学校にさえ登校することができない。国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」が30日、声明で明らかにした。

 セーブ・ザ・チルドレンは、地下に作られた学校8校を含む同市の全13校を支援しているが、アレッポに対する「残忍な攻撃」は約10万人の学齢児童から教育を奪いかねないと指摘する。

 地中貫通爆弾をめぐっては、シリア反体制派が掌握するアレッポ東部に対するロシアの空爆で使用されたと、米国が非難している。これに対し露政府は29日、アレッポにおける衝突の激化は米政府がシリア反体制派を制御できなかったからであり、シリア政府軍はあくまで「テロリスト」を標的にしているのだとして、アレッポへの爆撃を続ける方針を示した。

 セーブ・ザ・チルドレンによると、地下4~5メートルまで進んだ後に爆発する「地震爆弾」が使用されており、地下の学校でも安全ではない。同団体は声明で「アレッポ東部の学校は明日、新学期に合わせて再開することになっていた。だが同市は残忍な攻撃にさらされ続けているため、学校は引き続き閉鎖されたままで、約10万人の学齢児童が教育を奪われることになる」と述べた。

 地中貫通爆弾は、地下軍事基地などの頑丈な標的を貫通させる目的で使用され、犠牲者はがれきの中に埋もれたままとなる。

 セーブ・ザ・チルドレンによると、アレッポ東部で過去5日間に死亡または負傷した子どもは300人を超える。アムジャド君(12歳)は「僕らは学校へは行かない。人が集まる場所は空爆されるから。飛行機が来ると、床に座るんだ。何かが落ちてくるかもしれないとびくびくしながら。友達の1人は爆弾で死んだ。僕の親友だった」と語った。

 国連安全保障理事会(UN Security Council)でスティーブン・オブライアン(Stephen O'Brien)人道問題担当国連事務次長は、アレッポについて「シリアでこれまで目にしたことのない人道的大惨事の非情などん底に陥りつつある」と述べ、シリア軍の攻撃が始まって以来、激しい空爆にさらされているアレッポ東部では、10万人以上の子どもたちが身動きできない状態だと指摘した。(c)AFP