【9月15日 AFP】女性なのに米刑務所で男性として扱われ、男性受刑者40人と同じ房に収容されたとして、ドミニカ人女性が米当局を相手取り慰謝料75万ドル(約7700万円)を求める訴えを今週、米フロリダ(Florida)州マイアミ(Miami)の連邦裁判所に起こした。

 弁護士で3人の子の母親でもあるフィオール・ピカルド・デ・ベロス(Fior Pichardo de Veloz)さん(54)は2013年11月、麻薬密輸に関与した疑いで身柄を拘束され、一時的に米マイアミ(Miami)の刑務所に勾留された。数か月後、米当局はピカルドさんに対する容疑を取り下げ、ピカルドさんはドミニカに帰国。現在は公務員として働いている。

 しかし、ピカルドさんは勾留当初、女性であるにもかかわらず男性受刑者40人と同じ房で10時間を過ごす羽目となり、性的嫌がらせを受けレイプの恐怖にもおびえ続けたとして、憲法上の権利侵害とプライバシーの無視・侵害で米刑務所当局を訴えた。

 訴状によると、逮捕されたピカルドさんの身体検査を行った医師は、ピカルドさんに「非伝統的な男性的特徴が複数みられる」と診断。これを受けてマイアミデード(Miami-Dade)郡矯正当局の男性看護師3人がピカルドさんを検査し、男性と結論付けた。その後、当初ピカルドさんを女性と認識していた刑務所職員3人も、男性としての扱いに態度を変更し、男性房への移送を命じたという。

 ピカルドさんの代理人を務める弁護士は、訴状の中で「マイアミデード郡矯正当局の雇った看護師が再検査の後、ピカルドさんに男性の生殖器があると断定し、彼女は男性房に入れられた。この識別は、とんでもない間違いだ」と記している。

 男性房に入れられる際、ピカルドさんは看守からスペイン語で「明日まで生きていたら運がいいと思えよ」と言われたという。房の中では40人の男性受刑者たちの嫌がらせやレイプの脅しにさらされた。

 また、ピカルドさんはさらに2回にわたって性器を検査され、写真も撮られた。最終的に独居房に移されたが、そこでも看守から服を脱ぐよう命じられ、ニヤニヤしながらその姿を写真に撮られるなどし身の危険を感じたという。

 およそ10時間後、刑務所当局はようやくピカルドさんの性別を誤って判断していたと認めたという。(c)AFP