【9月6日 AFP】英国で5日、イングランド王ヘンリー8世(Henry VIII)の軍艦から発見された乗組員の頭蓋骨や工芸品などの詳細な3Dモデルが公開された。重要な歴史的発見について外部の研究者らと知識を共有することを目的とした試みの一環だという。

 公開されたのは、1545年にヘンリー8世の目の前で沈没したイングランド海軍の旗艦「メアリー・ローズ号(Mary Rose)」の遺物。頭蓋骨の一つは、乗船していた木工作業員ものだった。ネット上で公開された3Dモデルは画面上で動かすことができる。この他、軍艦から引き揚げられた木工道具なども公開されている。

 これら3Dモデルは、英ウェールズ(Wales)スウォンジー大学(Swansea University)の研究チームが制作した。高解像度の2D画像を解析して詳細な3Dモデルを作る「フォトグラメトリー」という技術を用いている。

 研究チームは、軍艦から発見された10点の頭蓋骨から1000枚の画像を撮影し、その画像データから操作可能なオンラインモデルを制作。今後は、他の研究者らにも分析に参加してもらい、沈没で命を落とした乗組員らの骨格モデルを制作できればと考えているという。沈没では約500人が死亡したとされる。

 メアリー・ローズ号は仏軍と3度の戦火を交えたが、1545年7月19日に英南部ポーツマス(Portsmouth)沖での仏軍の侵攻艦隊との戦いで、突然転覆して沈没した。

 その後、1971年に同艦の位置が特定され、1982年にその約3分の1が引き揚げられた。その時の様子はテレビで生中継された。

 スウォンジー大学、メアリー・ローズ財団(Mary Rose Trust)、オックスフォード大学(Oxford University)が共同で運営するウエブサイト「バーチャル・チューダーズ(Virtual Tudors)」(www.virtualtudors.org)では、鏡や軍艦の索具(さくぐ)、革製の靴などの画像も公開されている。

 その他の遺物数千点については、ポーツマスのメアリー・ローズ美術館(Mary Rose Museum)に展示されている。(c)AFP