【9月6日 AFP】中国のパラリンピック競泳のレジェンド、許慶(Qing Xu)の背にはサメの入れ墨が彫られている。これは、彼が競技にかける思いの表れだ。許慶はこの入れ墨、そして科学の力を武器に、自ら「おそらく最後」と語るリオデジャネイロ・パラリンピックに臨む。

 許慶は6歳のとき、交通事故で両腕を失った。そしてその1年後、自身も障害者スポーツ選手だった医師の勧めで競泳を始めると、パラリンピックで金メダル7個を獲得するなど、輝かしい実績を築いてきた。

 パラリンピック初出場を果たした2004年のアテネ大会では、まだ11歳だった。しかし、4年後の北京大会で金3個、銅1個を獲得して脚光を浴びると、ロンドン大会では50メートルと100メートル自由形S6、50メートルバタフライS6、そして200メートル個人メドレーSM6で金メダルを獲得した。そのほかにも、世界選手権の50メートル自由形を連覇した経験も持つ。

 許慶は入れ墨が幸運を運んできてくれたと話す一方、緻密な「科学的」トレーニングも成功の要因だと語っている。リオ・パラリンピックに向けて自らに高いハードルを課す許慶は、ライバルは誰かと問われると、「最大のライバルは自分。自分に勝つことで(良い泳ぎが)実現できると思います」と話した。

 そして23歳ながら、「おそらくリオが僕にとって最後のパラリンピックです。最善を尽くします」とリオを最後に引退する可能性も示唆した。

「『人間、ぶちのめされても負けることはない』。『老人と海(The Old Man and The Sea)』にそんな一節がありますが、この言葉には、障害者スポーツのあり方が表れていると思います。リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)では限界の向こう側を見たいです。パラリンピック選手に刺激を受けて、今よりも積極的で幸せな人生を送る。そんな人がいたらうれしいです」

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