【8月26日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)から科されている活動禁止処分の撤回を求めた、ジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)前FIFA会長の裁判が25日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)で行われ、審理は14時間以上に及んだ。

 倫理規定違反でFIFAから6年の活動禁止処分を科されているブラッター氏は、その処分の撤回を目指し、スポーツ関連の事案では最後の争いの場になることが多い、CASに異議申し立てを行っていた。2015年5月にFIFAの汚職スキャンダルが発覚して以来、同氏は母国スイスで犯罪捜査の対象にもなっている。

 濃紺のスーツをまとい、うっすらひげもたくわえた80歳のブラッター氏は、「楽観」していると裁定に対する自信をのぞかせながら、午前8時過ぎに入廷。そして夜も更けた午後10時35分に再び姿を現し、明るい様子で「長い一日だった。どういう裁定になるかは、なんとも判断がつかない」とコメントした。

 ブラッター氏は昨年9月、サッカー元フランス代表のミシェル・プラティニ(Michel Platini)氏に200万スイスフランを不正に支払った疑いで、FIFAから活動禁止処分を受けた。本人は、支払いは口約束に基づく合法なものだと主張したが、FIFA内部の上訴委員会はこの訴えを認めなかったため、CASに事案を持ち込んだ。

 審理の前に、ブラッター氏は「裁定を受け入れる。それが私寄りのものであればうれしいが、われわれはフットボーラーだ。勝利も、そして敗北も経験している」と結果を尊重する姿勢を示している。裁定は数週間以内に下される。

■プラティニ氏も証言

 問題の支払いについて、ブラッター氏は、FIFAがプラティニ氏に貸しがあった以上、正当なものだと繰り返している。プラティニ氏は1999年から2002年までFIFAで相談役を務めていたが、その際の給与が満額支払われていなかったという主張だ。

 ブラッター氏は前日、「プラティニ氏への支払いは、実際には負債の清算だった。CASも最後はその点を理解してくれると確信している。借金があれば返さなくてはならない。これは当前の話だ」と語っていた。

 この日の審理には、同じ件でFIFAから活動禁止処分を科されているプラティニ氏も出席し、証言を行った。しかし、5月の自身の異議申し立てがCASに却下されていることもあり、ブラッター氏の命運はすでに尽きていると考えているような節も見受けられた。

 記者団に対して、「結果がまだ決まっていないかどうかはわからない」と話して出廷したプラティニ氏は、午後4時半に退廷。「ブラッター氏は少し疲れていた。ひげも伸びていたし、後でひげ剃りを送るよ」と元会長の姿を軽くちゃかすようなコメントを残し、CASを後にした。(c)AFP/Ben Simon