■生命居住可能領域

 確定的ではない2000~2014年の観測データとの照合を行い、その他の考えられる要因を排除した後、研究チームはこの微小な前後運動が、周りを公転している惑星の引力が原因で起きていると断定した。

 記者会見に応じたアングラダ・エスキュデ氏は、「統計的に、疑いようがない。プロキシマ・ケンタウリを周回する惑星が発見された」と述べている。

 プロキシマbの太陽系からの距離は4光年。銀河系のスケールで考えると、これはまさに「すぐ近く」にあることを意味する。

 プロキシマbは、質量が地球の約1.3倍で、主星から約700万キロ離れた軌道上を公転している。これは、太陽と地球との距離の21分の1程度だ。通常、主星にこれほど近い距離にある惑星では、その環境は生命の存在することのできない灼熱のものになると考えられる。

 だが、プロキシマ・ケンタウリは赤色矮星で、その温度はより低温だ。その結果、この新発見の惑星は、水が蒸発するほど高温ではなく、氷結するほど低温でもない最適領域「ゴルディロックス・ゾーン(生命居住可能領域)」内にあることになる。

 だが、生命の誕生に不可欠な要素の一つとされる大気をこの惑星が持つかどうかは、現時点ではまだ不明だ。

 論文の共同執筆者で、独ゲッティンゲン大学(University of Goettingen)宇宙物理学研究所の「低温」の星の専門家、アンスガー・ライネルス(Ansgar Reiners)氏は記者団に対し、大気があるとした場合のコンピューターモデルでは、プロキシマbの温度は「主星の光が当たらない影の側でマイナス30度、光が当たる明るい側が30度の範囲にある」可能性があることが示唆されていると語った。

 地球に対する月の状況と同様に、プロキシマbは「潮汐力で固定」されているため、表側だけが常に主星の光にさらされ、裏側は永続的に影になる。