■ナックルボール―効果あり対効果なし

 不可解なジグザグの軌道を描くナックルボールは、多くの打者やゴールキーパーを悩ませてきた魔球だが、その謎は解き明かされつつある。

 フランス・パリ(Paris)の理工系機関エコール・ポリテクニーク(Ecole Polytechnique)の研究チームは、なぜサッカーやバレーボール、野球でナックルが威力を発揮し、卓球等ではあまり効果的ではないのかを明らかにした。

 指や手首を使って「回転」をかける普通のボールとは違い、ナックルでは回転を最小限に抑えて予測不能なブレを生み出す。そこで、研究チームが高速カメラを使って風洞試験を撮影したところ、驚いたことに、回転がなければどんなボールもジグザグの軌道を描くことが判明した。

 研究の共同執筆者であるバプテスト・ダルボワ(Baptiste Darbois)さんによれば、ナックルが一般的ではないスカッシュやバスケットのボールにも、ブレはあるという。ただし、ハンドボールやバスケットボールではシュート距離がごく短いため、ボールの直径よりも断然小さいブレしか生じず、同じ理由で、テニスや卓球でも相手を惑わすほどの効果はないのだという。

 ナックルボールを意図的に生み出すには、「ドラッグクライシス(空気抵抗の急減)」が起こり、ボールの周囲に乱気流が発生する速度でボールを打ちださなければならない。そうした「スイートスポット」に到達しやすいのがサッカーのような球技なのだそうだ。

 残念ながら、原理が解明されたからといって、ナックルを受けるのが楽になるわけではない。ダルボワさんは、「われわれの研究では、横揺れの偏差は今もって予測不能です。つまり、受け手にとって悪夢であることに変わりはありません」という。

 どちらかと言えば、この研究結果はボールの製作側にとってありがたいものだろう。この情報を使えば、ボールのブレを増幅するのも、和らげるのも思いのままだからだ。(c)AFP/Mariette Le Roux