【7月19日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)の調査報告書が公開され、2014年のソチ冬季五輪や主要国際大会においてロシアが国家ぐるみのドーピング違反を行っていたことが認定されたのを受け、国際オリンピック委員会(IOC)は19日、緊急会議を開くことになった。WADAは来月開催されるリオデジャネイロ五輪へのロシアの参加を全面的に禁止すべきだと勧告しており、IOCのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は、「スポーツと五輪の高潔性に対する衝撃的かつ前代未聞の攻撃だ」として強く批判している。

 カナダ人法学者のリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏が主導したWADAの独立調査では、諜報機関の協力で行われた露スポーツ省による「国家主導の不正」が5年間で30競技に及んでいたことが明らかになった。

 英国出身の元スケルトン選手で、現在はIOCの委員を務めるアダム・ペンギリー(Adam Pengilly)氏は、「不正行為の規模を考えれば、ロシアの五輪とパラリンピック出場を禁止する必要がある」との見解を示し、ロシアに対していかなる制裁も行われなかった場合、IOCにとって終わりの始まりにつながるか問われると、「その可能性は確実にある」と答えた。

 WADAはIOCと国際パラリンピック委員会(IPC)に対し、「ロシア五輪委員会(ROC)と同国パラリンピック委員会が提出した全選手について、リオ五輪への参加拒否」を検討すべきであると勧告。同時に一連のスキャンダルに関与した関係者を排除し、「ロシア政府関係者に対しては、2016年のリオ五輪を含めた国際大会から締め出すこと」を提言している。

 マクラーレン氏の報告によれば、ロシアの隠ぺい工作は惨敗に終わった2010年のバンクーバー冬季五輪終了後から始まり、2013年に行われた第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)やカザニ(Kazan)で開催された第27回ユニバーシアード夏季大会(World Student Games)、そしてウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が500億ドル(約5兆2800万円)もの資金を投入して大々的に開催されたソチ五輪を含め、2015年まで続いていたとされている。

 国家ぐるみの不正関与を強く否定しているロシアは、昨年発覚したドーピング問題により、すでに国際陸上連盟(IAAF)から同国出身陸上選手の国際大会出場を禁止されている。バッハ会長をはじめとする各国スポーツ連盟の救済措置により、身の潔白が証明されたロシアのアスリートはリオ五輪への出場が認められたとはいえ、同国に対する圧力は今後さらに高まるものとみられる。

 バッハ会長は「IOCは不正に関与した個人や団体に対し、可能な限り最も厳しい制裁を科すことも辞さない」とする声明を発表しており、19日の会議では暫定的な処分を検討することを示唆している。(c)AFP