【7月19日 AFP】2014年のソチ冬季五輪などの国際スポーツ大会で、ロシアが国家主導の下で組織的ドーピングを行っていたとする報告書を世界反ドーピング機関(WADA)が発表したことを受け、ロシア政府は18日、スポーツに対する政治介入への「危険な」逆行を批判した。

 カナダ人法学者のリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏が主導した独立調査の結果を受けてWADAは、来月始まるリオデジャネイロ五輪からロシアの選手や関係者らを締め出すべきだと勧告していた。

 報告書では、ビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)・スポーツ相率いるスポーツ省が、陽性反応が出た尿検体を国際監視員らの目に触れないようにすり替える組織的ドーピングを行っていたと指摘している。

 報告書を受けロシア政府は、この問題を調査する間、報告書で名指しされた関係者らに暫定停職処分を科す方針を発表。一方で、今回の調査結果や、調査のきっかけとなった内部告発を行ったロシアの元ドーピング検査関係者に対する嫌悪感をあらわにしている。

 ロシア政府は「スポーツ界にドーピングが入り込む余地はない」と強調した上で、報告書の結果は「1人の人物の証言に基づいたもので、その人物には醜聞がつきまとっている」と指摘した。

 この人物はモスクワ反ドーピングセンター(Antidoping Centre Moscow)元所長のグリゴリー・ロドチェンコフ(Grigory Rodchenkov)氏のことで、同氏は米国へ逃れた後、ソチ冬季五輪の際に用いられたドーピング隠ぺいの複雑な仕組みについて暴露していた。

 ロシア政府はまた、1980年のモスクワ(Moscow)、そして続く84年の米ロサンゼルス(Los Angeles)の夏季五輪がボイコット合戦となったことに言及し、「スポーツ界に対する政治介入への危険な逆戻り」を非難した。(c)AFP