■抗体の一部は逆効果に

 デングとジカは、どちらもネッタイシマカが媒介するウイルスで、同じフラビウイルス科に分類される。ジカに有効な薬剤は今のところないが、デングに有効なワクチンは存在する。デング熱は、ブラジルの風土病だ。

 憂慮すべきなのは、今回発見された、ジカウイルスを殺傷する2種類の抗体以外の、デングウイルスに対して活性を持つ他の分子の大半が、実際にジカウイルスの効力を増大させる可能性があることだ。

 このことは、デングウイルスの感染歴があることが「ジカウイルスの感染力を高める可能性がある」ことを示唆していると、論文の共同執筆者で、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のギャビン・スクリートン(Gavin Screaton)氏は指摘した。

「これは、現在のジカ熱の流行がこれほど深刻であること、そしてデング熱の流行地域で起きていることの理由かもしれない」

 この発見は、ジカワクチンで適正な抗体を用いることの重要性を浮き彫りにしていると、レイ氏は述べた。

 研究の次の段階では、既存のデングワクチンをジカ熱との闘いに用いることができるかどうか、もしくは新薬を開発する必要があるのかどうかなどに関する調査が行われるとみられる。(c)AFP/Mariëtte Le Roux