【6月11日 AFP】リオデジャネイロ五輪で見込まれる観戦客およそ50万人のうち、ジカウイルスに感染する恐れがあるのは1人だけ──ブラジルのリカルド・バロス(Ricardo Barros)保健相は10日、ジカ熱の感染確率についてこのように述べた。

 五輪開幕まで2か月を切り、ジカ熱懸念の払拭に努めるバロス保健相は記者会見で、リオ市内で五輪観戦中に感染する恐れはほぼゼロに近いと指摘。「統計から予想される感染確率は、五輪観戦に訪れるとみられる外国人50万人中、1人未満だ」と語った。

 ただし、妊娠中の女性は念のためブラジル旅行は避けるべきだとしている 

 バロス保健相によると今回公表した感染確率は、ジカ熱と同じく蚊が媒介するデング熱が流行していた2014年のサッカーW杯ブラジル大会の際の感染者数の推移から導き出した推計。W杯期間中にブラジルを訪れた旅行客140万人のうち、感染したのはわずか3人だったという。

 ブラジル当局は、五輪が開催される8月は南半球では冬で、蚊の生息数は激減するうえ、競技会場では定期的に害虫駆除を行うとして、安全性を強調している。

 にもかかわらず、国際社会のジカ熱懸念は高まる一方だ。南米各国にまたたく間に拡大したジカ熱は、大半の感染者が風邪に似た症状のみで済むが、妊婦に感染すると胎児が先天性異常の小頭症を発症する危険がある。また、性交渉によっても感染するとの報告がある。

 ブラジル保健省によれば、ジカ熱の流行は感染者が1万6059人に上った今年2月がピークで、5月の感染者数は2053人と87パーセント減少したという。

 リオ五輪をめぐっては先月、世界の科学者150人がジカウイルスの危険性の全容がまだ不明だとして、開催地の移動か開催延期を求める嘆願書を世界保健機関(WHO)に送付した。しかし、バロス保健相はこの嘆願について「科学的根拠がない」と一蹴している。(c)AFP