引退後も闘い続けたアリ氏、最強の男を苦しめたパーキンソン病
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■衝撃を受けた回数が多いほど高リスクに
医学的な研究では、頭部に何度も衝撃を受けるボクシングやほかのスポーツがもたらす結末に対し、長年にわたって警告が発されてきた。
2008年にドイツのハイデルベルク大学病院(University Hospital of Heidelberg)が行った研究では、ボクサー42人と一般人37人の脳がスキャンされ、3人のボクサーから脳に「微小な出血」が確認された。これはリング上で受けたパンチの衝撃が、脳組織に損傷を与えたためと考えられており、研究者は「これらの変化はパーキンソン病や認知症といった重度の脳障害の前兆と考えられる」としている。
2003年に科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された論文では、引退したアメリカンフットボール選手の脳の活動に「深刻な異常」が確認されたと発表されている。認識検査を実施した米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の選手に確認された前頭葉の異常活動は、フィールド上で頭部に受けた強い衝撃の記録と合致していることが明らかになっている。
約30パーセントのボクサーが引退後に神経障害を発症しており、シェルマン氏は「ノックアウトされた数が多ければ多いほど、そのリスクは高くなる」としている。
シェルマン氏はまた、アマチュアボクサーの方がより危険度が高いとしており、その理由については「試合数が多くて検査が少ない。プロに比べてディフェンスにかける時間が少ない」からだと述べている。