■「目も当てられない」ピッチで

 ヴァルソヴィアは、1950年代になってから創設された小さな少年サッカークラブで、練習施設もお粗末だった。シコルスキさんも「ピッチは土と砂だらけで、春と秋には目も当てられない状態でした。ひっきりなしに整備しないといけないくらい、でこぼこだったので」と振り返る。

「暑い時期には、水を撒いて土ぼこりを抑えようとするのですが、日光であっという間に乾いてしまって、またもくもくと土が舞い上がり始める。だから試合が終わると、子どもたちはいつも真っ黒になっていました」

 クラブには、冬用の練習施設がない。つまり所属する少年たちは、雪の中でプレーするか、市内の他クラブの施設を借りて練習するしかない。今では土のグラウンドにも人工芝が敷かれたが、それでも冬にピッチを整備するお金はないという。

 レワンドフスキの最初のチームについて、シコルスキさんは「当初は、ここを単なる練習クラスにしようと思っていました」と明かす。

「でもすぐに、これは良いチームだと気づいて、大会へ出られるように手続きしました。快進撃でしたよ! 大会へ出れば、いつもメダルを持ち帰ってきました」

 そして2002年、チームはドイツで大会に出場し、レワンドフスキは将来プレーするバイエルンのホームスタジアムを初めて目の当たりにする。「みんな圧倒されていました。美しいピッチ、更衣室、充実した設備…夢のスタジアムでした」と、シコルスキさんは語る。