【6月1日 AFP】ポルトガル領マデイラ(Madeira)島――フンシャル湾(Funchal Bay)の絶景を見下ろす高台にある駐車場。ここにはかつて、薄汚れた通りでサッカーの才能を磨き、世界のトップ選手に上り詰めたクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)の生家があった。

 サッカー界のスーパースターとなったロナウドの名前は、マデイラ島に観光客を呼び寄せている。しかし島の中心街はこれから、何日かおきにひっそりと静まり返るだろう。欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)が開幕し、ロナウドがポルトガル代表としてプレーするからだ。

 島には高さ3メートルに及ぶロナウドの銅像が建てられ、「CR7記念館(CR7 Museum)」にはロナウドにまつわる記念品や、彼が獲得してきたトロフィーが展示される。島の観光ガイドにさえ、ロナウドの顔がのぞく。

 フンシャルは、降り注ぐ太陽と景観が人気の観光の島で、毎年100万人もの観光客が訪れる。地元住人によれば、ロナウドの質素な実家は、父親が亡くなった後、やじ馬を遠ざけたいという町役場の判断で取り壊しになったという。

 人々は、ロナウドに関するお気に入りの思い出話を喜んで語る。当時隣人だった73歳の男性は、「クリスティアーノが6歳くらいの時、家の前で一人でリフティングをしていた。ボールを地面に落とすことはなかった」と話している。

 31歳となった今、ロナウドは世界屈指の価値あるスポーツ選手にして、6つに割れた腹筋を恥ずかしげもなく披露するファッションアイコンであり続けている。しかし近所の人々が思い起こすのは、首都フンシャルを見下ろすサントアントニオ(Santo Antonio)の丘を走り回っていた、やせっぽちの少年の姿だ。