【4月28日 AFP】アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)に標的にされている同国のモハメドさんは、ズボンを少し下げて、胴回りの爆弾の破片による複数の傷痕を見せてくれた。欧州に移民らを密入国させる密航業者に10代の息子2人を託すという苦しい決断を正当化するために──。

 モハメドさんの息子たちのように、欧州へ渡るアフガン人の少年たちの数が前例のないほど急増している。

「自爆攻撃、空爆、殺人──私の子どもたちは虐殺から離れて生きていくべきだ」と、モハメドさんはシャツをたくし上げて、さらに深い裂傷を見せながら語った。

 彼は、8人の子どもたちのうち14歳と17歳の2人を密航業者に頼んでドイツへ渡らせる準備を、何か月もかけて行ってきた。

 モハメドさんはここ数年、首都カブール(Kabul)の自宅で2度の手りゅう弾攻撃を受け、かろうじて生き延びた。家の前庭には、爆弾の破片によって穴だらけになったコンクリート片が散乱している。

 彼に送られてきたタリバンからの脅迫文の一つには、「今度はお前を殺してやる」と書かれていた。またアフガニスタンの情報当局からも、3人の娘を含む一家全員が誘拐される危険があると、警告されている。

 こうした脅迫は、昨年9月に東部ガズニ(Ghazni)州の刑務所をタリバンが襲撃し、数百人の受刑者が脱走して以来、増大している。

「子供たちは欧州へ向かう途中で殺されるかもしれない。だがここにいても殺されるだろう」、「欧州が国境を封鎖して、息子たちが途中で拘束されて行き場を失ったとしても、アフガニスタンにいるよりは安全だ」とモハメドさんは言う。

 多くのアフガン人が、財産や家を売って、息子たちを密航業者に託している。欧州などで亡命申請が認められ、ほかの家族を呼び寄せてほしいとの希望を抱いてのことだ。