■未成年では最多、アフガン人の移民・難民

 欧州へ渡る移民・難民の国籍はシリア人が最多だが、保護者の付き添いのない未成年に限ると、アフガン人が最も多い。

 未成年の移民・難民が好んで目指すスウェーデンは2015年、14年に欧州全体で受け入れた人数よりも多い、約2万4000人のアフガン人の子どもを受け入れた。

「親たちに苦渋の選択を強いる絶望感を想像してほしい」と、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)のサラ・クロー(Sarah Crowe)氏は言う。

 国連(UN)によれば、欧州へ渡ろうとして、1日平均2人の子供が水死している。さらに欧州に押し寄せる大量の移民・難民にもまれる中で、数千人の子どもたちが行方不明になっていると、活動家たちは警告している。

 仏パリ(Paris)とベルギーのブリュッセル(Brussels)でテロ事件が発生したことにより、欧州での反移民感情があおられ、移民・難民たちが送還されるリスクも高まるだろう。

「でも、ほかにどんな選択肢があるというのか?」と、モハメドさんの17歳の息子、ハミド君は言う。

 国境の取り締まりなどが強化されるなか、欧州のビザを取得するのは困難だ。増え続ける欧州を目指す人の波は、偽造ビザ産業を生み出している。

 カブールの薄汚れた狭い路地にある旅行代理店に入ったハミド君は、店員にトルコのビザを取れる可能性はあるかとこっそり聞いた。

「男性1人だと6000ドル(約65万円)、家族なら1人4000ドル(約43万円)」だと店員は言った。多くのアフガン人にとっては、到底払えない金額だ。

 額が違うのは、若い未婚の男性はイスラム過激派との関連の疑いを起こさせるからだと、店員は言う。

「ビザが偽物ではないという確証はあるのか?」とハミド君が聞いた。店員は「100%本物のビザを得られる」、「国境で確かめてみるといい」と話した。(c)AFP/Anuj CHOPRA