【2月1日 AFP】欧州警察機関(ユーロポール、Europol)は1月31日、欧州に同伴者なしで到着した移民の子どものうち、過去1年半~2年の間に行方不明となった数が1万人以上に上ることを明らかにした。その多くが売春や奴隷化を目的とした人身売買の犠牲となっている恐れがあるという。

 英紙オブザーバー(Observer)が報じ、ユーロポールの広報部がAFPの取材に対し明らかにした。

 ユーロポールのブライアン・ドナルド(Brian Donald)参謀総長によると、こうした子どもたちは、欧州到着時に国家当局による登録手続きを終えた後、システム上から姿を消した。同氏は「われわれが調べている子どもは、1万人を超えると言っても過言でない」と述べ、イタリアだけで5000人が姿を消したと付け加えた。

「その全員が犯罪の犠牲になるわけではないだろう。一部は血縁者に引き渡された可能性がある。ただ、誰とどこで何をしているのか、把握できていないのだ」

 オブザーバー紙の報道によると、ユーロポールは、欧州連合(EU)に人を運ぶ密航業者と、移民を性的に搾取したり奴隷としたりする人身売買組織との結びつきを示す証拠を発見した。「ドイツとハンガリーには、移民危機に乗じた犯罪行為に関与したとして拘束された者が被収容者の大半を占める勾留施設が存在する」とドナルド氏は述べている。

 ドナルド氏は同紙に対し「登録の有無にかかわらず、われわれが扱っているのは27万人の子どもたちだ。その全てに同伴者がいないわけではないが、多くに同伴者がいないことを示す証拠がある」と述べ、1万人という数字は低く見積もったものだとも付け加えた。

 子ども支援の国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」のイタリア欧州プログラムのディレクター、ラファエラ・ミラノ(Raffaela Milano)氏は、「大人の同伴者なしで渡航する未成年者は、移民集団の中で最も狙われやすいグループだ」と指摘している。(c)AFP/Nicolas DELAUNAY