【1月5日 AFP】スペイン1部リーグ、レアル・マドリード(Real Madrid)のラファエル・ベニテス(Rafael Benitez)監督の惨めな在任期間はわずか7か月、25試合での解任で幕を閉じ、後任指揮官にはジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)氏が就くことになった。

 ここでAFPは、リバプール(Liverpool FC)やチェルシー(Chelsea)で指揮を執ったベニテス氏が自身の選手生活と指導者のキャリアをスタートさせたレアルで何に狂いが生じたのかを振り返る。

■ロッカールームの反乱

 2015年にタイトルを獲得できず、前任のカルロ・アンチェロッティ(Carlo Ancelotti)元監督の選手の扱いが温和だったと批判を受けたことで、レアルのフロレンティノ・ペレス(Florentino Perez)会長はロッカールームに規律をもたらすためにベニテス監督を招へいした。

 しかしながらその好戦的なスタイルにより、退任した後もアンチェロッティ元監督を称賛し続けたセルヒオ・ラモス(Sergio Ramos)やクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)といったチームのスター選手を取り込むことに失敗した。

■ビッグゲームでの失敗

 25試合で17勝3敗5引き分けという結果の見返りが解任とは指揮官にとっては酷とも思えるが、レアル以上に要求の高いクラブはこの世には無く、ベニテス監督はビッグゲームで結果を残すことができなかった代価を支払うことになった。

 昨年11月に本拠地でFCバルセロナ(FC Barcelona)に0-4で完膚なきまでにたたきのめされたことを別にしても、レアルはアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)、ビジャレアル(Villarreal CF)、セビージャFC(Sevilla FC)、バレンシア(Valencia CF)から勝利を挙げられず、リーグ首位に立つアトレティコには勝ち点4差をつけられている。

■ピッチ外での障害

 ピッチ内でのレアルの問題はさておき、ベニテス監督は選手たちの不品行に関する会見のため、何度も記者会見に臨むことになった。

 ベニテス監督は、フランス代表の同僚マチュー・ヴァルブエナ(Mathieu Valbuena)を「セックステープ」を使って恐喝した罪で起訴されているカリム・ベンゼマ(Karim Benzema)を全面的に支援した。

 一方でコロンビア代表のハメス・ロドリゲス(James Rodriguez)は、車で時速200キロのスピードを出して覆面の警察車両に追跡され、3日に行われたベニテス監督最後の試合となったバレンシア戦で起用を見送られた。

■国王杯での失態

 予算のないアマチュアクラブにとってはお決まりの問題だが、世界で最も裕福なクラブであるレアルは、スペイン国王杯(Copa del Rey 2015-16)4回戦のカディス(Cadiz CF)との第1戦でベニテス監督が出場資格の無い選手を起用したため、失格処分となった。

 デニス・チェリシェフ(Denis Cheryshev)はこの試合で先発起用され、先制点を挙げたものの、昨季レンタル移籍先のビジャレアルで累積警告のため出場停止処分が科されていた。

 ベニテス監督はバレンシアを率いていた2001年、欧州圏外の選手を規定より多く起用したために同じくカップ戦で失格処分を受けた過去がある。

■守備的な戦術

 レアル就任当初の結果はベニテス監督を満足をさせるものだったが、地元メディアやサポーターからは後ろ向きの戦術ととらえられ、批判の対象となった。

 創造的なロドリゲスやイスコ(Isco Alarcon)といった選手を軽んじ、ベニテス監督はチームの適切なバランスを見いだすことができなかった。

 ベンゼマとギャレス・ベイル(Gareth Bale)が負傷から復帰すると、失点がかさむようになり、レアルは直近の11試合では18失点を喫している。(c)AFP/Kieran CANNING