Q:
新作を書き上げるにあたり、苦労された点はどのようなところですか?

A:
タイムリーな題材を多く扱っているので、そこをどの時点の情報やファクトで区切るかが悩ましいところでした。特に現地取材した中国やアメリカは目まぐるしく変化をしているので、その点においては情報のアップデートが大変でした。とにかく膨大な量の情報を集めて、かつ今までで一番取材をしたとおもいます。だから、本のなかに収まりきれなかった情報も沢山あって、これについてはどこかで今後どういった形なのかわかりませんが、話をする機会があればと考えています。

Q:
物欲なき世界において、菅付さんが考える『ファッション』の存在意義とは?

A:
いまファッションの定義を語るということがあらためて重要だと思います。ファッションの社会的な立ち位置を念頭に置いて、ファッションがどう機能して、機能していないのか。以前と比べて、服がそんなに重要なことではなくなったんですね。世の中の人は、服を買わなくなったと同時に、そもそも物を買わなくなった。

 例えば、 2014年の世界的流行語となった「ノームコア」という言葉は、MODE PRESSの連載でいち早く紹介し、この言葉の火付け役となったNY在住のライター[フィオナ・ダンカン]にも日本で一番最初にメールインタビューをしま したが、「普通がクール」というのは、極端な変化を良しとしてきたファッションが終着点に近づいているということですよ。そこでファッションの定義を、再考した方がいいと思うのです。1つは衣服、衣料品としてのファッション。もう1つは最新の時代意識としてのファッションですね。つまり、ファッションは最新の時代意識を伝えるメディアとしての衣服として、今までは機能していたわけですが、ソーシャルメディアの急激な発展と普及によって、日々、一般の人々が自己表現ができる世界になった中で、有効な時代意識を伝えるメディアになりえているのかが問われていると思うんです。

 そういう意味では、 前回の「中身化する社会」も今回の「物欲なき世界」も、両方共きっかけはこのMODE PRESSでファッションをテーマにした連載をやってほしいという依頼から始まっているわけですが、僕はそれを衣服の作り手の意識よりも、消費者や生活者の意識のほうが速く変化していると感じたんです。ですので、その消費者の意識の急速な変化の方にファッションを感じて書いたわけです。