【11月12日 MODE PRESS】
■ライフスタイルショップは都市生活者の日常を変える

 昨今、ライフスタイル提案型ショップが、新業態として注目されている。特に、東京を中心に新店オープンの勢いは衰えず、加えて様々なジャンルのお店が「ライフスタイル型」への方向転換を図っている。このムーブメントについて、『カーサ・ブルータス』ではそれらのお店を、“NEW LIFESTYLE SHOP 理想の暮らしが買える店”として、2011年以降毎年特集を組んでいるほどだ。そんなライフスタイルショップの先駆者のひとりであり、独立系のお店として注目を集めている南青山のThe Tastemakers & Co.(以下、テイストメーカーズ)は、単に生活雑貨を売るだけでなく、様々な食のイベントも行い、話題を集めている。その代表の北舘洋一郎さんにお話を伺った。

 「実は、テイストメーカーズを始める前に、T6Mというメンズ・ファッションのお店を代官山で展開していました。そんな中で、ファッションやライフスタイルがどんどんユニセックスな方向へ向かう流れを感じ、そんな感覚を出せるような世界観を展開したいと思うようになって。それでメンズのお店を一時的に止め、現在のお店を始めました。メンズの店は時代のど真ん中の商品を揃えていたので、たくさんのお客様にすぐに来店していただくことができました。しかし、逆に会社の雰囲気やお客様のモチベーションもどこか物欲主義的な方へ向かいすぎてしまって、段々しっくりこない自分がいました。もちろん、会社のスタッフも。その経験から得た反省みたいなものが、今の経営には、随分、反映されています。テイストメーカーズをオープンして3年になりますが、大切にしてきたのは“衣食住を共有させる世界観”を提案すること。洋服屋をやりたいわけでもなく、雑貨屋や飲食店でもなく、それでも衣食住のコンセプトが打ち出せる場を作りたいというイメージでした。どうやってそれを表現するかというと、毎回シーズンごとに異なるコンセプトを立て、そのコンセプトに沿って商品や内装や打ち出し方を全部変えています。もちろん定番的な商品もあるのですが、基本は毎回のコンセプトありきの買い付け、商品構成でお客様に理解していただこうと思っています。そしてお客様や、商品を作っている職人さん、お店の仲間たちとのコミュニケーションを第一に考え、その次のコミュニケーションをつなぐものを生む、という仕事の進め方を考えています。それもすべて、仕事ありきで考えるとお客様が喜ぶということにはならないと思ったんです」