「ジャンクフード」消滅?米国で高まる健康志向
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■「PH」ではなく「PR」?
かつて高い人気を誇ったスイス食品大手ネスレ(Nestle)の冷凍食品ブランド「リーン・キュイジーヌ(Lean Cuisine)」も、ダイエット効果よりオーガニック原材料使用という点を強調するようになっている。
ライト氏は「人々はより健康的なライフスタイルを求めており、加工されているほどヘルシーでないという認識が強い」という。たとえ「カロリーは同じでも、加工食品よりフレッシュな商品の方が健康的だというイメージがある」のだ。
ここで惑わされがちな点がある。米非営利団体(NPO)公益科学センター(CSPI)のマイケル・ジェイコブソン(Michael Jacobson)事務局長は、大々的に宣伝されるこうした切り替えの多くは、栄養的にはほとんどうわべの変化でしかないと指摘する。
ジェイコブソン事務局長は、ベーカリーチェーンのパネラ・ブレッド(Panera Bread)が「食品のあるべき姿」を提案するキャンペーンの一環で、合成着色料とトランス脂肪酸の除外に踏み切った姿勢については称賛したが、一方で同社の「ブラックリスト」に掲載されている乳酸ナトリウムなどの物質は、問題がありそうに聞こえても実際には無害だと説明している。「こういった動きは『パブリック・ヘルス(公衆衛生)』というよりも『パブリック・リレーションズ(PR)』の側面の方が大きい」と、ジェイコブソン氏は分析する。
例えばよく事態を眺めてみれば、米国の成人約7850万人の糖尿病や心臓病リスクを高めている肥満危機に対し、こうした「ヘルシー食品」が効果をもたらしたことはほとんどない。ライト氏は「人々が求めているのは、これまでよりも少しだけヘルシーな食べ物」であって「『よりヘルシー』というのは、必ずしも『完璧にヘルシー』なことではない」と指摘している。
マクドナルドと米国心臓協会(AHA)で栄養諮問委員を務めるペニー・クリスイーサートン(Penny Kris-Etherton)氏は「『完璧にヘルシー』な選択をして、カロリーが高くなることはあり得る」と述べ「肝心なのは人々の意識向上だ」と語った。