外国人観光客にくじら料理を紹介、東京・恵比寿
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■漁業の神
くじら肉を食べる日本の食文化は、物議を醸すと同時に複雑でもある。
海洋国家の日本では、数百年もの間、クジラ漁が行われてきたが、産業化されたのは、第2次世界大戦(World War II)が終わってからだ。
日本は過去数十年間、科学的なデータ収集のために捕鯨を行ってきた。反対派は、捕鯨を禁じる国際的な法律のいわいる「抜け穴」を利用していると指摘しているが、こうした方法で得られたくじら肉が食卓に上がることについては特にタブー視されることはなかった。
しかし、最近では、その消費量に落ち込みもみえる。
日本捕鯨協会(Japan Whaling Association)は、今回のイベントに賛同しており、オープニングセレモニーに出席した山村和夫(Kazuo Yamamura)会長はAFPに対し、「実際に食べ物なんだと、料理屋で、レストランで食べる食べ物なんだと実感する外国の人が増えれば、資源があれば減らさない範囲で利用するのはいいんじゃないかと理解してくれる人は増えてくるんじゃないか」と語った。
イベントの主催者は「えびす」という名前は、漁業やクジラ、外国人に深く関係するものだと説明する。
えびすは、漁業の神であると同時に七福神(Seven Deities of Good Fortune)の一柱に数えられており、職業の守り神として日本中で崇められている。
また、神格化された漁業の神であるクジラを意味したり、福の神は遠方からやってくるとの考えに基づき、かつては外国人を意味する言葉として使用されたりしたこともあるという。
しかし、一部の観光客は、同イベントの開催に否定的だ。米シアトル(Seattle)から来た男性観光客は、イベント開催で、同地区への訪問が完全に「興ざめ」となったと話す。「自分がターゲットの一人だと知っていたら、恵比寿に来ることはなかっただろう」としながら、「たとえそれがとてもおいしいとしても、味見しようという気にさえならない」とコメントした。(c)AFP/Harumi OZAWA