【4月21日 AFP】米海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric AdministrationNOAA)は20日、長年にわたって絶滅危惧種と位置づけてきたザトウクジラについて、大半の地域では個体数の回復がみられ、もはや同等レベルでの保護は不要との考えを示した。

 NOAAは、ザトウクジラを14の異なる個体群区分に分類し直し、「個別の必要性により配慮した保護の取り組み」を提言している。これにより、10区分については絶滅危惧種リストから外れる見通しだ。

 NOAAは声明を発表し、「過去40年間にわたる保護と回復の取り組みにより、多くの地域では個体群での生息数と成長速度の上昇がみられる」と述べ、また「商業捕鯨によってザトウクジラの個体数は激減したが、1970年に米国がザトウクジラを絶滅危惧種に指定して以降、多くの地域では個体数が回復した。個体数増加のスピードも安定している」と述べた。

 ザトウクジラは、成長すると体長18メートルに達し、寿命は50年とされている。体重は最大40トン。オキアミなどの小さな甲殻類が主食で、1日に食べる量は1360キロにも及ぶ。

 NOAAの提言では、アラビア海(Arabian Sea)と、カボベルデおよびアフリカ北西部の沖合に生息する個体群のみを絶滅危惧種とみなすべきとされた。一方で、中米と北太平洋西部に生息する個体群についてはその保護レベルを引き下げるべきとしている。

 今回の提言による変更に対しては、90日間の意見公募が行われる。その後、NOAAによって最終案が提出される。

 NOAAは、「今回の提案が確定した後に『種の保存法(Endangered Species ActESA)』の保護対象から外されることになるザトウクジラの個体群も、引き続き『海産哺乳類保護法(Marine Mammal Protection ActMMPA)』では保護される見込み」としている。

 MMPAは、米領海内および米国民による公海上での特定の海洋哺乳類の捕殺を禁止する他、それらの米国内への持ち込みも禁じている。(c)AFP