【9月1日 AFP】(一部更新)ハンガリー当局が首都ブダペスト(Budapest)の駅に泊まり込んでいた難民に対し、欧州連合(EU)発効のビザなしのままEU入りすることを認めたことを受け、隣国オーストリアの首都ウィーンに1日、3650人の移民が列車で到着した。オーストリアの警察当局は、1日のうちに到着した難民の数としては今年最高だと発表した。

 ウィーンには31日にも、移民で満員の列車がブダペストから到着していた。同日、ウィーンでは2万人が移民の受け入れを支持するデモを行ったが、第2次世界大戦(World War II)以降、最大といわれる移民危機に対応するため、欧州各国は四苦八苦している。

 大半がビザを所持していない数百人の移民が乗った列車は、ウィーンのベストバーンホフ(Westbahnhof)駅に到着した。多くは駅で一夜を過ごしたが、その後、ザルツブルク(Salzburg)やドイツ南部のミュンヘン(Munich)に向かう列車に乗り込んだ。ドイツ当局は先週、シリアからの難民に関して受け入れ拡大を決定している。

 移民たちは、ハンガリー・ブダペストの駅に一時的に作られた「難民キャンプ」に数日間、足止めされていたが、ハンガリー当局は移民たちが最終的に目指す欧州北部に向かうため、列車に乗車することを許可した。本来、EUでは移民が最初に到着した国で保護申請などの措置を行う規定になっているが、オーストリア同様、欧州北部を目指す移民が通過するハンガリーは、新たに押し寄せる記録的な数の移民の対応に手が回らないとしている。

 先月、オーストリアの高速道路に乗り捨てられていたトラックから、子ども4人を含む移民71人の腐敗した遺体が見つかった事件を受け、移民を乗せた列車は取り締まりが強化されたため、ブダペストから出発後も列車はオーストリア国境で数時間、停車した。

 ウィーンでは同日、2万人が参加し移民の待遇改善を訴えるデモが行われた他、トラックから遺体で見つかった移民たちのための礼拝が教会で行われ、政府高官らが出席した。

 EU諸国は今月14日に移民問題を話し合う緊急会合を開く予定だが、深刻化する危機的状況を受け、東西で移民への対応について意見が分かれている。(c)AFP