【7月15日 AFP】スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)を退団し、カタール・スターズリーグ(1部)のアル・サード(Al-Sadd)に加入したシャビ・エルナンデス(Xavi Hernandez)が14日、イケル・カシージャス(Iker Casillas)を放出したレアル・マドリード(Real Madrid)の姿勢に不快感を示した。

 35歳のシャビは、バルセロナの地元紙バンガルディア(La Vanguardia)に対して、「個人的に彼のレアル退団は嫌な気分だった。残念だし、不愉快だ」とコメントしている。

「どうしてイケルを評価できないのか。自分にとって彼は史上最も決定的な仕事をするゴールキーパーだ」

 34歳のカシージャスは12日、たった一人で行われた記者会見で、少年時代から25年を過ごしたレアルを退団し、ポルトガル1部リーグのFCポルト(FC Porto)に移籍することを涙ながらに発表した。その一方で、レアルはカシージャス退団について短い声明を出したのみに終わった。 

 これを受けレアル・マドリードのフロレンティノ・ペレス(Florentino Perez)会長は13日、クラブとカシージャスとの確執を否定するため、本拠地サンチャゴ・ベルナベウ(Santiago Bernabeu Stadium)にカシージャスを招待し、サプライズの退団セレモニーを行っている。

 カシージャスの急場しのぎの退団劇は、バルセロナが昨季終盤にシャビに用意した華々しい退団セレモニーとは対照的なものとなった。

 シャビは、「私は自分が例外的に幸運な選手だと考えているが、彼がしてきたことを考えると、イケルも同等の扱いを受けて当然だと思う」と語った。

 カシージャスとシャビは、子どもの頃からの友人で、スペイン代表では2010年のW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)制覇と、2008年と2012年の欧州選手権(UEFA Euro)連覇を成し遂げた戦友となっている。

 スペインスポーツ界最大のライバルチームで、ともに主将を務めていながらも、カシージャスとシャビは公の場で友好関係を隠そうとせず、2012年にクラブ間で緊張が高まった際には、カシージャスがシャビに電話をかけて和解の意志を示した。

 シャビは当時のカシージャスの行為が、スペイン代表内部で両クラブに所属する選手間の対立を防いだとし、「代表チームを救った」と語っている。

 そして当時のこの振る舞いが評価され、カシージャスとシャビはスペイン最高峰の市民賞、アストゥリアス皇太子賞(Prince of Asturias Awards)のスポーツ賞を受賞している。

 最後にシャビは、「スペインのスポーツ選手がその功績にもかかわらず敬意を欠いた扱いを受け、評価されない状況は許容できない。むしろ、悪意を持って欠点をさらされてばかりいる」と語った。(c)AFP