IS支配下での「恐怖の日々」、シリア難民が回想
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【6月18日 AFP】手の切断の刑を命じるイスラム法廷、街路を巡回する黒服姿の警察官、絶え間ない恐怖に覆われた日常──。シリアの町テルアビヤド(Tal Abyad)で発生した戦闘を逃れトルコに避難した難民たちは、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」による支配下の生活を、不安げにこう回想する。
先週末に発生したISとの戦闘の後、テルアビヤドはクルド人民防衛部隊(Kurdish People's Protection Units、YPG)率いる部隊によって掌握された。ISにとっては、これまでで最大級の打撃となったとみられる。
戦闘を避けて安全な避難場所に逃れようと、大量の人々が、財産を詰め込んだ袋を頭に載せながら、そして時には自分の子どもたちだけを連れてトルコに流れ込んだ。国連難民高等弁務官事務所(UN High Commissioner for Refugees、UNHCR)によると、トルコ側に避難した住民の数は約2万3000人に上る。
アラブ系を主とする難民たちは、大半がISからの解放を喜ぶ一方で、クルド人による支配下での生活がどのようなものになるのかという心配も抱いている。
「シャリア(Sharia、イスラム法)の下での暮らしはひどいものだ。ほとんど何もかもが禁止される」。家族15人とともに3晩野宿した後、トルコへと逃れたハリル・アハメド(Halil el-Ahmed)さん(55)は、通過してきたアクチャカレ(Akcakale)の国境検問所近くの公園でこう語った。
「玄関のチャイムが鳴るたびにびくびくしながら、恐怖と共に暮らすのはひどいものだ。この戦争は早く終わって欲しいが、クルド人が支配する国に戻りたくはない。私たちはISを快く思ってはいなかったが、少なくとも彼らの規則について知ってはいたし、その規則の下でどう振る舞うべきかも学んでいた」
テルアビヤドは、ここから国境の反対側のすぐ向かいに位置する。先週末には、難民たちがトルコ入りを待つ間、ISの戦闘員たちが怪しげに姿を現し、トルコ側で取材するメディアに対して、にやっとした表情を見せた。だが今では彼らもいなくなった。