■親戚への義理から「壮大な無駄遣い」

 法案は大統領による承認を待っている。しかし、13年間に及んだ紛争後、国際支援が急速に消散する中で経済が急降下する同国で、珍しく活況を呈している結婚式ビジネスを崩壊させかねないと危惧する式場オーナーらの猛烈な抗議を呼び起こしている。

 カブール市内にある30余りの結婚式場のうち、最大級の規模を誇る「ウラヌス(Uranus)」の所有者、ハッジ・グラム・シディーク氏は「偏狭な国会議員たちは、治安の悪化など本質的な問題から注意をそむけるため、この問題を持ち出している」と話す。

 タリバン政権崩壊後に登場した社会現象である豪華な結婚式は、単に楽しむためだけでなく、苦しい葛藤から一瞬の逃避をもたらし、戦闘で疲弊した暮らしにわずかな彩りを加えてもいる。

 内科医のホシャル・ナビザダさん(34)は、3年前に結婚した際、一生懸命貯めた2万5000ドル(約300万円)の貯金を式のために一晩で費やす羽目にはまったと話す。「もっと小規模のパーティーにしたかったが、妻の家族が認めてくれなかった。今振り返ってみて、なんて壮大な無駄遣いだったのだろうと、妻と私は思っている」

 出費を抑えたい一部の人々は招待客の数を減らすために、客を男女別に分けずに一緒のホールで祝うという比較的珍しいスタイルを編み出した。見知らぬ人が大勢集まる場に、自分の一族の女性を連れ出したくないという理由で出席を辞退するアフガニスタン人が多いことを見込んでだ。

 招待客が高いパーテーションで男女別に仕切られた結婚式場「パリ宮殿」のホールに、花婿が到着した。額からは汗のしずくが流れ落ちている。ある招待客が「きっと結婚式の費用が気になってるんだよ」と言った。別の客が「法律ができるまで待てば良かったのに」と言うと周囲に忍び笑いが起こった。(c)AFP/Anuj CHOPRA