■生まれたときから付きまとう「レッテル」

 ドイツ・ベルリン自由大学(Free University of Berlin)のジョルジオ・ブロッコ(Giorgio Brocco)氏によれば、アフリカではアルビノの人々は畏怖の対象であると同時に、魅力的な存在とみなされてもいる。肌などの色の違いで差別される人もいるが、一部地域では「神」に近い存在としてあがめられる例もあるという。

 だが、タンザニアでは「大半が差別の対象だ」とブロッコ氏は指摘する。アルビノの皮膚は日差しに弱く、農作業に従事できないことも差別の理由になっているという。

 アルビノの人々には生まれた瞬間から「レッテル」が付きまとうと、非営利団体「タンザニア・アルビニズム協会(Tanzania Albinism Society)」で活動するジョセファト・トーナー(Josephat Torner)さん(32)は話す。トーナーさん自身もアルビノだ。

「村の人々は、生まれたばかりの私を毒殺しようとした。私が村に災厄をもたらすと考えたんだ。でも、母が彼らを止め、私の命を救ってくれた」と、トーナーさんは外見によって爪はじきにされた生い立ちを語ってくれた。「子どもたちの間でも、アルビノがうつると言われて誰も遊んでくれなかった。実の兄弟たちでさえ、私の服には触ろうとしなかった」

 活動家たちは、こうした迷信や偏見をくつがえすには教育と啓発が不可欠だと主張する。タンザニアの警察当局は3月、多発するアルビノ殺害を食い止める試みの一環として、呪術師数百人を一斉検挙した。しかし、トーナーさんをはじめとする活動家たちは、長期的には教育こそが「誤った思い込みを根絶する」と考えている。(c)AFP/Emile COSTARD