■逃げるほかない

 アルビノ男性のセンゲレマ・サイモン(Sengerema Simon)さん(28)は、襲撃されて呪術の材料にされるのではないかとの恐れから、住んでいたタンザニア北部タボラ(Tabora)州の村から逃げ出さざるを得なかった。仕事もなくし、今は最大都市ダルエスサラーム(Dar es Salaam)で支援団体に助けられつつかろうじて暮らしている。

「村の人たちからは、(名前ではなく)『アルビノ』とだけ呼ばれることがよくあった。ある日、見知らぬ男たちが私を名前で呼び、取引をしようと持ち掛けてきた。それで、とても怖くなったんだ」と、サイモンさんはAFPに語った。

 アルビニズム(先天性白皮症)は、肌や髪、目の色素が先天的に欠乏する遺伝子疾患で、専門家によるとタンザニアでの発症率は1400人に1人。近親間での婚姻に一因があるとする指摘もある。

 アルビノ襲撃は北西部のスクマ(Sukuma)人のコミュニティーを中心に多発しているが、不法採掘のダイヤモンド鉱山と金鉱で一獲千金をもくろむ働く鉱山労働者たちの間で、開運と護身の「お守り」として需要が高まっているとの報告も上がっている。