■リビアの米領事館襲撃事件

 国務長官時代のヒラリー氏にとっての最大の失敗は恐らく、2012年9月11日にリビア・ベンガジ(Benghazi)で発生し、米国人4人が死亡した米領事館襲撃事件への対応だろう。共和党は対応が不十分だったとして、ヒラリー氏を激しく攻撃するとともに、米中央情報局(CIA)が用意した「論点」を、政権側が事件を過小評価する内容に変えたと非難している。

 しかし、2016年の選挙戦の期間中に批判の的となり続けるのは、2013年の上院公聴会で、共和党議員から襲撃発生の原因に関する質問に答えた際のヒラリー氏のいら立った態度かもしれない。「それが今の時点でどんな違い生むというのか?」と厳しい口調で切り返したクリントン氏の言葉は、瞬く間に世間に広まった。

 さらに、現在も終了の見通しが立たないこの問題は先月、下院ベンガジ特別委員会(House Benghazi Committee)の調査から、ヒラリー氏が4年間の在任中の公務に政府の規定に反して私的な電子メールアカウントのみを使っていたことが判明したことで、さらに複雑化した。

 これらのメールはヒラリー氏の私用サーバーに保存されていた。ヒラリー氏は、職務に関連のあるものは全て国務省に提出したと主張し、サーバーを中立な立場の第三者に引き渡すようにとの同委員会の要請を拒否している。(c)AFP